永遠の華〜last eternal〜



「あ、ゆかり」



外で待っていた二人が、お店から出てきた私に気づいて振り返った。




『ごめん、待たせたね』


「いいよ、気にしなくて。
とりあえずあたしらは帰るけど……ゆかりは?」



『うん、私も帰るよ』





気遣う様子の茉莉に、私は笑顔で返した。





「ゆかりちゃん、ごめんねぇ…」




しょんぼりと落ち込む美香の頭を私は撫でた。





『大丈夫だって』



「ゆかりちゃん〜」





抱きついてくる美香に、私は笑いをこぼす。


……別にもう気にしてはないんだけどね。




「じゃ帰ろ、美香」



「うん。またね、ゆかりちゃん!」





手を振る二人を見送りながら、私も反対方向に歩き出した。



まだ暖かい日差しが照り続け、
夏を感じさせる太陽。







夏は、まだこれから。
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