永遠の華〜last eternal〜

――悟side――




「本当に素直じゃないなぁ、香は」




ゆかり達を見送ったあと、グラスを下げながらそう言った。


視線を向けた先にはカウンターに座り、タバコを手にしている香の姿。


キン、とライターの音が店内に響く。




俺の言葉に香は何も答えず、ただお酒の入っているグラスをグイッと飲み干した。





「気になるのは分かるけどさ。
ゆかりを困らせるような事だけは止めなよ?」






空になった香のグラスにお酒を注ぎながら、俺は苦笑いをする。


ゆかりと香は、どこか似ている。



お互い意地を張り、素直にならない。



……昔からだ。



ゆかりも香も、思っていることをなかなか話さない。


だからこそ、いつも二人はぶつかり合うんだ。






「ゆかりは鈍感だから……伝わらないよ?」






くく…と笑う俺に、やっと視線を向けた香はいつになく不機嫌な表情をしていた。



そんな顔ばかりしてるから、ゆかりが怖がるんだよ。
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