NAIL
店内は明るかった。全体的に白を基調として、優しい色合いの橙色の照明が使われている。ぐるりと店内を見渡してみたが、美知子の他に客の姿はない。それに店員も彼だけのようだ。
「お掛けください。なにぶん、辺鄙な所にあります故、お客様など久しぶりですよ。申し遅れました、私、店長の騎斉風人と申します。宜しくお願い致します」
そう言って青年は暖かい緑茶を差し出した。
キサイフヒト。不思議な響きを含むその名前を彼女は頭の中で反芻し、出された緑茶に口を付ける。緑茶以外の香りが仄かに漂い、彼女の鼻孔を擽った。
「失礼ですが、此方に必要事項をご記入願いますでしょうか。個人情報は私が責任を持って管理致します」
差し出された用紙の記入事項はごく簡単な物だった。
まずは、氏名、年齢、職業。それから夢に願望に好きな色、好きな動物、好きなデザイン。後半はほぼアンケートのような物だ。
「お掛けください。なにぶん、辺鄙な所にあります故、お客様など久しぶりですよ。申し遅れました、私、店長の騎斉風人と申します。宜しくお願い致します」
そう言って青年は暖かい緑茶を差し出した。
キサイフヒト。不思議な響きを含むその名前を彼女は頭の中で反芻し、出された緑茶に口を付ける。緑茶以外の香りが仄かに漂い、彼女の鼻孔を擽った。
「失礼ですが、此方に必要事項をご記入願いますでしょうか。個人情報は私が責任を持って管理致します」
差し出された用紙の記入事項はごく簡単な物だった。
まずは、氏名、年齢、職業。それから夢に願望に好きな色、好きな動物、好きなデザイン。後半はほぼアンケートのような物だ。