それでも君が。
「ひゃっ!」
そんな色気も何もない声を出してしまったのも、仕方ないと思う。
蒼君の大きな手が、私の腰に回ってきた。
私の背中で、両手を組んでいるようだ。
「なっ、何!? 蒼君! 何!?」
その固い腕に手を添え、必死で引き剥がそうとするけど、蒼君に離す気はないようだ。
それどころか、私から目を逸らすように顔を横に向け、淡々と話し出す。
「放課後の教室っていいよな」
「え……え!?」
「特にこの時間帯。教室全体がオレンジ色に染まってさ」
「蒼君……?」
「好きな子と2人きりだったら、告白とかして」
「………」