それでも君が。
ただ、蒼君の口元には笑みが浮かんでいるのに、……瞳があまりにも真剣だから……
心臓の鼓動が、どんどん加速していく。
「そ、蒼君……」
「ん?」
「それ……どういう意」
「羽月」
「ちょ……蒼君、人の話聞い」
「キスしよっか」
何を返す間もなく、彼の顔が近付いてきたんだ。
気付いたら、柔らかくて温かいものが唇に押し当てられてて……
私は、それまで我慢していた涙が伝うのを、どうしても止められなかった。
何も覚えてないような、鮮烈に記憶に残っているような。
そんな不思議な感覚だ。
ただ、3秒程して離れた彼の唇から、信じられない言葉が出たのだけは、絶対に覚えてる。
──……一生。
「好きだよ」