それでも君が。
──蒼君……?
背筋にピリピリと悪寒が走る。
怖い……
やだよ……
蒼君……!?
「俺、お前には言った気ぃするんだけど」
蒼君は一歩二歩と足を踏み出しながら、こう繋げた。
「羽月に何かしたら、絶対許さないって」
少女Aの先輩は、近づいてくる蒼君と同じ歩幅で後ろに下がっている。
それだけ、蒼君のオーラがすごいのだと、ここから見てても分かるんだ。
ついには、先輩の背中が靴箱の側面にピタリとついた。
追いつめられてる状況だ。
そんな中、蒼君が先輩に向かってその長い腕をニュッと伸ばすのが見えた。
「やっ……蒼君! 蒼君やめて!」
腕が、ピタリと止まる。
次の動作が決まらない内にと、私はまた咄嗟に声を出した。