それでも君が。
やっぱり好きなんです。
保健室の真っ白なドアには、“只今外出中”と札が掛けてあった。
もちろん、鍵が掛かっている。
蒼君は「待ってろ」と言って、職員室にいる先生から、保健室の鍵を借りてきてくれた。
蒼君はスポーツ部だったということもあり、保健室の勝手はよく知ってるのだ。
中に入ると、窓も閉め切っているせいか、すごく暑い。
「あちぃ……」
そう言った蒼君は、髪の毛をグッとかき上げながら、窓を開けた。
キュッキュッ、という、スリッパが床と擦れる音がやけに響く。
真っ白な空間。
消毒液の匂い……?
保健室独特の、清潔な匂いが鼻をくすぐる。
「今湿布出すから、ベッドに座ってろ」
「椅子じゃなくて?」
「ベッドに座った方が、足が浮いてやりやすいから」
「……分かった」
言われた通りにベッドに腰掛け、靴下を脱いだ。
もちろんまだ腫れてなんてないけど、痛い。
「他に傷あるか」
蒼君が棚を開けながら、そう聞いてくる。
そう言われると、何故かどこそこ痛くなるから不思議だ。
ふと下に目を向けると、肘の頭がすりむけて、血が滲んでいた。
足の膝小僧にも、擦り傷が目立つ。
「どこそこケガしてんな」