それでも君が。
いつの間にか、湿布を手にした蒼君が、私の前にひざまずくように座っていた。
ペリッと湿布のシールを剥がす。
「挫いた方の足、ちょっと上げて」
「や、やっぱり恥ずかしいから、自分でっ……」
「何言ってんの」
「だって……あ、足をそんな近くで好きな人に見られるだなんて……」
「………」
蒼君は、下に向けていた顔を上げ、私を見つめてくる。
その顔はポカンとしたように無表情だったけど、私と目が合うなり、変わった。
目が少し細められ、口元が緩む。
彼は、その表情を見せまいとしてか、また床に目を戻しながら言った。
「今更。羽月の足なんて、ホクロの位置も分かるくらいなのに」
胸が、キュンとなった。