それでも君が。
こんなに、自分のことを知ってくれてる人がいる。
それだけで、すごく嬉しくなっちゃうよ。
「……ごめん」
私の足首に湿布を貼り付けた蒼君が、包帯を巻きながら、ぽつりと落とすように口にした。
でも、それきり何も言わないから。
私は、「何が……?」と聞き返す。
「俺のせいだ。こんなケガさせて。ごめん」
「……どうして? どうして蒼君のせいになるの!?」
「俺の周りの女子がやったことだろ」
「でも蒼君のせいなんかじゃないよ!」
「………」
「こんな傷……何ともない。むしろ、もっとやられたっていい」
「お前、何言っ」
「もっとやられたっていいよ! こんなことで、蒼君の傍にいられるなら……蒼君の傍にいるためなら、どんなことだって我慢出来るよ」
静かな保健室に響いた私の声。
包帯を巻き終えた蒼君は、ひざまずいた状態のまま、私を見上げてくる。
その目が、真っ黒で、きれいで……。
それに自分が映ることの幸せを、何故かその時に強く感じたの。
すると、蒼君の手が、私の足にそっと置かれた。