それでも君が。
チュッ、という何ともなまめかしい音が耳に入り、顔を背けたくなる。
舐められた所から瞬時に広がる痺れ。
その痺れは体中を侵していく。
「や、蒼君っ……そんなとこ舐めたらっ……汚いよ……」
「汚くなんかない。ちょっと我慢してろ」
「……っ」
蒼君の唇が膝から離れる時、透明な糸が引かれた。
それだけのことにも、顔を覆い隠したくなるのに……
更に蒼君は、ベッドに手をついて私の腕を取り、肘にも唇をつけてくる。
少しのくすぐったさと、また広がる痺れ。
「……っ蒼君……」
「……なに?」
「ふ、触れてくれて……う……嬉しいっ……あり、がとう」
「………」
目だけを上げた蒼君と、視線が絡み合う。
こんなに近くにいるのは、あの日のキス以来。
あれからそんなに時間は経っていないのに、何だか、蒼君が前よりも男っぽくなったような気がした。