それでも君が。
聞いちゃいけないことを、聞いた……?
「帰るぞ」
そう言って、2人分の荷物を持って保健室のドアを開ける蒼君。
──触れてもらえるだけ、いい。
そう考えたら、少しは気持ちを立て直せる。
キスだって、してくれた。
それに、もう“どうして?”ってばかり思うのはやめようって、誓ったばかりだ。
現実を受け止める。
蒼君に嫌な思いをさせないためなら、受け止めてみせる。
どんなことでも──。
先に廊下に出て行った蒼君を追いかけ、私も足を踏み出した。