それでも君が。
「じゃあ、これで失礼します」
「……は、はい……」
2人がチョコンと頭を下げた時、彼らの背後から、低い声が飛んできた。
「……どちら様ですか?」
刑事さん達は、その声に身体の向きを変えた。
そのおかげで、声の犯人が見えた。
もっとも、声だけでも、その主は分かるのだけど。
「……蒼君……あの、こちらは刑事さんで……」
「刑事?」
眉を寄せ、その綺麗な顔を、一気に不快な表情に変えた蒼君。
──蒼君……?