それでも君が。




「晴君は? 今日一緒に帰らない?」





そう言って晴君を見上げる。



彼は、その切れ長の目を少し動かし、私を見下ろして、低い声で言った。





「俺は部活見に行くから」


「そっか。蒼君、ほんとにいいの? 蒼君もほんとは見に行きたいんじゃないの?」


「いや。今日は大したメニューじゃないし。大丈夫」





蒼君はそう言って、袖をグイッと肩まで上げた。



蒼君と晴君はもう3年生だから、部活は引退したのだ。



でも、彼らのバスケへの愛情は並みではなく、今でも時折練習相手として、部活に顔を出す。




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