それでも君が。
「今日は出ないの? 部活」
「うん。晴斗は出るってさ」
「そう……」
呟くように言って、彼女は私にチラリと目をやった。
そのアーモンド型の目の中にある瞳もまた栗色で、とても綺麗。
そんな目に見つめられ、つい、口を閉ざした。
すると、秋山先輩は私をジッと見ながら言った。
「こんにちは、羽月ちゃん」
「こ、こんにちは」
「来週から、1週間も蒼汰借りるけど、ごめんなさいね」
「あ……いえ」
合宿のことを言っているのだ。
来週から1週間、バスケ部の合宿がある。
それに、蒼君と晴君もついて行くのだ。
2人がいるのといないのとでは、部員の士気が違ってくると、監督に頼み込まれたのだそう。
それに、元マネージャーの秋山先輩もついて行くらしい。
──いい気は、しない。
「借りるって。俺は物じゃねぇぞ」
クアッとあくびをしながら蒼君が言うと、秋山先輩はクスクスと笑い、
「それは失礼しました」
と言って、蒼君の腕に手を滑らせた。