それでも君が。
それから、蒼君の顔を見ないまま、私はいつの間にか眠りについてしまっていた。
夢を見た。
小学校1年?
2年……?
小さな私が、小さな蒼君の背中を追いかけていた。
蒼君はちょっと意地悪で、私が追いつこうとする度に、また走るスピードを上げるの。
「蒼君のバカ」って。
私は泣きながらも、やっぱり走ってついて行った。
でも、蒼君がやっと止まったと思ったのと同時に、私は知ることになるんだ。
気付いたら、目の前に自分の家があった。
門限に間に合わないと、とんでもなく叱られた私の家。
蒼君は、私が叱られないよう、早く家に帰らせるため、わざとあんな風に私を走らせたんだ。
こうでもしないと、私が駄々をこねることが分かっていた蒼君。
でも、どんなに蒼君に文句を言ったって、その背中を追いかけていた。