それでも君が。
くじけそうです。
──その次の日から……
蒼君の私に対する態度が、また変わった。
「昨日、刑事さん来たって?」
熱が少しだけ引いたから、学校に行けるだろうと思い、準備をしていた時だった。
人の良さそうな人相をしたお父さんが、新聞に目を落としながら言った。
「何で知ってるの?」
「蒼汰君がな」
「……最近、この辺で何かあったのかな? 刑事さんが来るなんて、珍しいよね」
「物騒な世の中だからな。刑事さんも目を光らせてるんだろう」
「そっか。そだね……。じゃあ、行ってきます」
台所に立っていたお母さんが、「行ってらっしゃい」と叫ぶのが聞こえた。
また、蒼君が門の前にいてくれるかな、と。
最近では、一緒に登校してくれるのが当たり前になっているから。
無意識に期待を抱きながら、玄関の扉を開ける。
朝の日差しのせいですっかり暑くなった空気が肌をかすめるのと同時に、門の前に目をやった。