それでも君が。




「教室帰れ」



──どうして、そんなこと言うの?



「お前に練習してるとこ見られたくない」



──……今までは、見てたじゃん。



「とにかく、教室行け。放課後も、教室で待っとけ」



──……分かった。



その時、そう言う他に、何て言えた?



私には、分からない。



そうして練習さえ見せてくれなかったあなたは……



また元の位置に戻ったまま、私の方を見てくれなかった。



彼の手首には、私が誕生日にプレゼントした、スポーツブランドのリストバンドが。



蒼君。



あなたの色だって。



青を選んだの。



あなた、笑った。



“羽月が選んだのなら何でも嬉しい”




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