それでも君が。




別な日。



蒼君の教室に、行ってみた。



別に用事があった訳じゃない。



急に、居ても立ってもいられなくなって。



顔が、見たくなって。



でも、蒼君は違ったみたい。



入り口に立つ私の姿を見るなり、席を立ってしまい、別の入り口から出て行ってしまう。



それを追いかけた。



当然のことのように。



そしたら、彼は私を見ないまま、言った。



「クラスには来るなって何度言ったら分かんの」



──……顔、見たかったの。



「……放課後会えるだろ」



──……うん。



「俺、ちょっと用事あるから」



──蒼く……



そのまま、階段を下りて行ってしまったよね。



私、しばらくそこに立ち尽くした。



地に足がついてるか、確かめるためでもあった。




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