それでも君が。
放課後、早速、委員会の呼び出し。
私と藤堂君は、肩を並べて視聴覚室へと向かうことになった。
蒼君もどのみち部活で遅くなる。
「ていうかさ、やっぱりおかしくない!?」
そう言うと、隣を歩く藤堂君が「んあ?」とやる気のない声を出す。
「何でさ、私を推薦なんかしたの? 繋がりとかないじゃん」
「繋がりならあるだろ」
「なに」
「俺がセックスしてるとこ見たこととかー」
「ちょ! 大きな声で言わないでよ! 何か私がそういう趣味の変態かと思われるでしょ!!」
「……確かに」
唇を右側だけ上げ、ニヤリと笑う藤堂君の方が、百倍近くは変態だと思う。
「あとはほら、怖い先輩から庇ってやったろうが」
「恩着せがましくない?」
「てめぇ……犯すぞ」
「うそ。感謝してる。あの時は、本当にありがと」
つい、口元が緩む。
藤堂君は「分かってりゃいいけどよ」と言ってチッと舌打ちをした。
舌打ちを、したのだけれど……
私から背けた顔が、ほんの少しだけピンク色になっているような気がして。