それでも君が。
「……照れてるの?」
顔を覗き込むようにしてそう言うと、藤堂君は一瞬私に目をやっただけで、また逸らした。
「照れる訳ねぇし」
「うそ! 照れてんじゃん」
「つかよ、ありがとうとかよく真顔で言えるな!」
「……ありがとうとか、あまり言われないの?」
彼の言葉が、頭にちょっと引っかかったから、そう聞いた。
すると、藤堂君は目を上に向け、唸った。
「あ゛ー。……ないかも」
「そりゃ、女の子にあんなひどいことしてちゃね」
「犯すぞっつってんだろ」
「でも、私のことは助けてくれたもんね」
感謝の意を込めて、笑顔でそう言うと、藤堂君は目だけで私を見下ろしてきた。