それでも君が。




でも、パチッと目が合った瞬間、またすぐに逸らす。



そして、首を少し後ろに倒しながら言った。





「別にー。あれはお前だって知らずに助けたんだし」


「それはそうだけど、」


「つか、本当はよ、助けた奴が超可愛かったり、美人だったりしねぇかなって期待してた訳」


「………」


「したらお前だもんな。たつモンもたたねぇし」


「ももも、モンって何だ!」


「あ? 正式名称言った方がいい?」


「あ、アホか!」


「嘘だよ」





ハハハッ! と、声を出して、目を細めて、楽しそうに笑う。



──何だ……



こんな顔も出来るんだ。



少年みたいな、こんな無防備な笑顔……。



反則だよ。



ちょっと、可愛いとか思っちゃった。



釣られて、私も少し声を上げて笑った。



視聴覚室へ続く廊下の角を曲がる。



その時、視聴覚室の前に立っている人物を目にし、身体が硬直した。




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