それでも君が。
彼女に促されるままに教室に入っていこうとする蒼君の背中に、投げるように言葉をかけた。
「蒼君!」
彼はピタリと動きを止め、顔だけを私に向けた。
「あ、あの、……部活は……? 何で、ここに……」
「実行委員長になったから」
「……え」
「だから。私と蒼汰が、実行委員会の委員長と副委員長なのよ」
蒼君の簡潔な言葉に補足するように、秋山先輩が、ため息混じりにそう言った。
その隣にいる蒼君は、ただまっすぐに私を見ている。
その目から何かを感じ取れないものかと見つめ返すけど……
蒼君は、目を閉じるついでという感じで、私からその目を逸らした。
そして、秋山先輩と一緒に教室に入っていく。
ピシャッと閉められたドアを見つめた。