それでも君が。
席を立ち、教室の前方の扉に手をかけようとした時。
ガラガラッと、自動ドアのように扉が開いた。
「わっ!」
「あ?」
思わず驚きの声が出てしまい、そこに立っていた人を見上げる。
「藤堂君!」
「よぉ。はよ」
眉をクッと上げ、私を見下ろす。
何がそんなに面倒くさいのか、彼は制服のはずのシャツを着ておらず。
紺色の半袖ティーシャツを着ている。
「おはよって……もうお昼だよ」
「さっき起きた」
「……そう」
「………」
「……あ……私、行かなきゃ」
半分だけドアが開いた入り口を塞ぐくらいに大きい彼。
私は機嫌をうかがうようにそう言い、彼の横からすり抜けようとした。
でも彼は私の進路を塞ぐように、トンッと手をついたのだ。