それでも君が。
ゆりちゃんは、つまらなさそうにそう言った。
──最近、女の子と遊んだりしてないってこと……?
そう言われてみたら、確かに、最近大人しいというか……
女の子といるとこ見ないかも……。
「羽月が本命なのかなぁって、うちのクラスの女子の中では噂になりつつあるよ」
「んなっ! 嘘嘘嘘!」
私は手を左右に振りながら、自分でも引くくらい必死にそう言った。
ゆりちゃんは「ふぅん」と気のない返事をして、更に続けた。
「まぁ、羽月にはあんなカッコいい彼氏いるしねぇ」
「あ……へへ……うん」
「やっぱりラブラブ?」
「………」
「羽月?」
「て、いうか、私が彼のこと大好きだから! 他の人とか考えらんないなぁ」
笑いながら言うと、ゆりちゃんは手を口元に当て、
「ご馳走さまぁ」
と言いながら、昇降口を出ていった。