それでも君が。
「お前、また風邪ぶりかえした?」
蒼君が、前を向いたまま、言う。
「え? どして?」
「顔色良くない気がする」
「ほんと? それゆりちゃんにも言われたんだ……」
「帰ったらすぐ寝ろよ」
「うん! でも、きっと大丈夫。最近、雨の日になると、ちょっと気分悪くなるんだ」
「……え?」
何か大変なことを聞いたかのような響きを持った、蒼君の声。
隣を見ると、目を見開いてる、彼。
「……何? 蒼君」
「……雨の日はって……どういうことだ」
「んー……何だろ。病院の先生に言われたあれかな。偏頭痛みたいな感じかな?」
「……そうか」
納得した言葉を出した蒼君は、けれども腑に落ちないという表情をしている。
「心配、してくれてるの……?」
あまりにも空気が淀んだ気がしたから、努めて明るく言ってみた。