それでも君が。
真実は残酷です。
次の日。
案の定、私は風邪をぶり返した。
熱が出たのだ。
「羽月、具合どう?」
ドアがコンコンと音を立て、その後そんな声が飛んできた。
「うん、大丈夫」
「入るよ」
「うん」
小さな音を立てて開いたドアから、お母さんが顔を覗かせた。
その手には、お盆。
コップとポット、それにマグカップも乗っている。
それを小さなテーブルに置き、マグカップだけを手にするお母さん。
「温かいレモネード。飲みなさい」
そう言って、赤いハート型のマグカップを私に渡す。
私は身体を起こし、「ありがとう」と言って、それを受け取った。
少し口をつけて喉に流すと、いつものレモネードより少し甘く感じた。
お母さんがハチミツを入れてくれたんだろうと思う。