それでも君が。




「羽月。そのリストバンド、取りにきてって、蒼ちゃんにメールで言っときなさいよ」


「……え」


「そのリストバンド、試合の時とか絶対してるじゃない。蒼ちゃん」


「……うん」


「今回も、無いと勝手悪いわよ。それに……1週間も離れる前に、やっぱり会いたいよね」





顔を傾げ、ニコリと笑う。



私も笑い返し、コクリと頷いた。



リストバンドの補正が終わると、お母さんは裁縫箱を持って、部屋を出ていった。



早速、蒼君にメールを打とうと、携帯電話を持つ。



メールの新規作成を開き、文字を打とうとするけど、熱のせいで頭がボーッとして……



眠気もプラスされ、後ででいいか……と、あと1人の自分が脳内で囁くから。



私はそのまま眠りについてしまった。












咳が出た。



喉が痛くて。



頭はボーッとして。



何だか切なくなった。




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