それでも君が。




──羽月……




……蒼君……?




──羽月……ごめんな。




……? 何でそんなこと、言うの?




──好きだよ……。




私も、大好き。




──ゆっくり、眠れよ。




え……? 待って……! 待ってよ! まだ話したいことがあるんだよ! ……でも、声が出ない……歯がゆいよ……!




──羽月……











唇の感触を、唇で受けた。




蒼君が、キスしてくれてるみたいで。




嬉しくて




嬉しくて……




蒼君は明日行ってしまうというのに、覚めない自分の意識を憎んだ。




そこに蒼君がいるかもしれないのに……




追いかけなきゃ。




蒼君が行っちゃう……




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