それでも君が。
合わせる顔なんて、ない。
私のせいでケガをさせておいて……。
しかも、私はそれを忘れて、のうのうと生活していた。
お母さんが、私の頭を抱えながら、諭すような口調で言った。
「羽月……蒼ちゃんは、あなたのせいでケガをしただなんて……思ってないわよ」
私は、お母さんの身体に寄りかかるようにしながら、首を横に振った。
「会えないよっ……会えない……」
「こんな風になるから、嫌だったんだよ」
──……
私を抱きしめてくれているお母さんの手の力が少しゆるみ、腕の下から、入り口が見えた。
そこには、ティーシャツと、下にはジャージを着た蒼君の姿。
息をのみ、お母さんの胸に顔を埋める。
「ちょっと、羽月……!」
慌てたように私の名前を呼んだお母さんは、私の両肩を持ち、引き離そうとした。
「お前が、そんな風に責任を感じるから……だから、絶対に思い出させたくなんかなかったのに」
……え?
ゆっくり顔を上げ、苦しそうな声を出したその人を、見る。