それでも君が。
澪ちゃんはお尻を机の上に乗せ、その細い足を組んだ。
背が低いせいか、机に乗ってもドシンとしていないから、可愛い。
「てか、ねぇ、晴斗先輩には彼女とかいないよね? 結城晴斗(ユウキ ハルト)先輩」
真っ黒で真っ直ぐな髪の毛を、指でいじりながら澪ちゃんはそう聞いてきた。
「晴君には……いないと思う」
「よし!」
「澪ちゃん……晴君のこと好きだったの?」
「だって、めっちゃカッコいいんだもん! 無口でセクシーで……。いいなぁ羽月は。あんなカッコいい幼なじみが2人とか」
「……いや、あんまりいいことないです。皆の視線とか、痛いし」
「ふーん……じゃあどっちにも恋愛感情とかないの? ホントに?」
「………」
「はづ……」
澪ちゃんが、俯いて黙り込んでしまった私の名前を呼ぼうとしたその時──