それでも君が。
「どしたの?」
「やっべ。課題のプリント、棚から取れって言われてたのに、忘れてた」
「え? それ大変じゃん。取ってこなきゃ」
「うん。ちょっと行ってくる」
「あ、私そこの屋根があるバス停で待ってるから、傘持ってって」
「ありがと」
蒼君はそう言って、私の青い傘を差して、走って学校に戻っていった。
その後ろ姿でさえも、周りの人の視線を外させないくらい、素敵なんだ。
ただ、この辺りは人通りが少ないから、今は見る人がいないけど。
人通りが少ないとは言え、当たり前だけど、うちの学校の生徒はよく使う道だ。
このバス停だって、使うのはほとんどうちの生徒だけ。
でもさすがに、今はもうほとんど生徒の姿はない。
ハァッと息をつき、屋根の柱に寄りかかる。