アルホード王国
「何を……」
「まぁ、見てなって」
クリスの服の左胸に刃を当てる。
そして、ビリッと数センチ切り裂いた。
すると……
「……え」
白い紙が一枚出て来た。
「俺たち兵士隊には古くから伝わる言葉がある。“大切な物は左胸に納めろ”」
「なんで父上が…」
「クリスさんは兵士隊名誉顧問だろ?」
そうだった。忘れていた。
父は剣術が得意で、レオナルドもそれを受け継いでいる。
レオンもクリスから剣術を習ったことがある。
「はい」
レオンから紙を受け取り、静かに開いた。
【消えゆく我が命
最後の光を見た者は、
白い箱に行くだろう。
出口の見えない箱ならば、
耳を澄ませて考えるがよい】
なんだ……これ。
てっきり遺書か何かだと思っていたレオナルドは唖然とした。
「どうして父上は俺に、この紙の在処を言ってくれなかったんだろう…」
「言えるわけないだろう」
「……え?」
「俺たちは国に命を懸けてる」
「俺だって国を愛してる!」
ダァンッ!
「甘ったれたこと言ってんじゃねぇ!」
レオナルドの肩を掴み、壁に押し付けるレオンのブルーの瞳が怒りに燃えていた。