アルホード王国
レオナルドは無言でレオンにクリスの左胸から出て来た紙を差し出したが、レオンは手を振って受け取らなかった。
「…読まねえの?」
「俺は王族じゃねーからな。読んだところで何もないよ」
レオナルドはポケットに紙を仕舞う。
レオンは立ち上がり、クリスの遺体に近づいた。
「クリス・ライン兵士隊名誉顧問様、暗殺犯は必ず捕まえます」
「暗殺って知ってるのか?」
「リースがサワードさんから聞いたんだ」
「なぁ、レオナルド」
しばしの沈黙の後、レオンが言った。
「…ん?」
「この国は、変わるぞ」
「変えるさ」
「それは、お前が政治が出来るようになってからの話だろ?まだ4年ある」
「そっか……俺まだ16だった」
「なに勝手に老けてんだよ」
王子なのに、ちょっと抜けてるレオナルド。
そこが人を惹きつけるのかもしれない。
国王が政治を行えるのは20歳から。
国王に若くして即位した者が居る場合は、国王補佐が代わりに政治を行うことになっている。
「近いうちに行こう、レオン。国が潰される前に」
レオナルドはサワードをあまり信用していなかった。
「あぁ!」
レオンは力強く頷く。