アルホード王国
「早く言え!」
「すいません…」
何事にも動じない、サワードさんが痛そうな声を挙げているので、少し笑いそうになったが堪えた。
ガタッ…
サワードさんに続き、レオナルドとレオンもチャペルに出た。
「まさか……チャペルに繋がってるなんて」
薄明かりに目を凝らしながら、サワードさんが言う。
「2人とも、ありがとうございました」
深く、頭(こうべ)を垂れる。
「ぐずぐずしてる暇はないぞ!急げ!すぐに罪人が逃げ出したことに気づくだろう!警報が鳴れば、俺はもうお前の敵だ、レオン」
レオンは頷いた。
「サワード長官には俺たちの目的を話したんだ。俺たちは今から廊下の隠し通路を通って城下町へ行く」
「国を救ってくれ、レオン」
サワードは逞しく成長した、レオンの手を握った。
訓練生の頃とは見間違えるほど強く、体も心も大きくなったレオン。
「はい」
「クリスレオナルド王子、お気を付け下さい」
「国は――任せたぞ、サワード長官」
「はい」