アルホード王国
″脱走″
「本当に、ありがとうございました」
お礼は言っても、言い足りない。
「気にするな」
「行くぞ、レオン」
3人は一度見つめ合い、二手に別れて走り出した。
サワードさんは長官室へ。
レオンとレオナルドは秘密通路へ。
「ぜー…はー…」
「最高速度じゃね?」
流石、兵士隊第5番隊隊長。
息一つ乱れてない。
レオナルドは『やっぱ適わねぇな』と心で呟いた。
「はぁ…だな」
レオナルドは膝に手を着いて息を整え、秘密通路に入る。
レオンも続いた。
そして、暗がりの中、城下町に向かって急ぎ足で歩き出した。
その頃、サワードも長官室で息を整えていた。
上手く逃げ切れよ…!
レオン!レオナルド王子!
腐敗した国を救ってくれ。
もう、何人の人々が連れ去られたか分からない……。
俺たち、兵士隊が現場に駆けつけるのは連れ去られたあと。
現場を見るだけだ。
……仲間を集めて無事に帰って来い。
心の中で2人に言った。