アルホード王国
いや、私だけでない。
先代の王、アリアス王は一つになろうと努力なされた。
しかし、王宮の内部にダークレイドの者がまぎれて居て暗殺された。
そして、孫のクリスティーナ王女は拉致された。
この国は終わるのだろうか。
10が1に成るとき、この国は救われる。』
物語はそこで終わっていた。
アル城の図書室でそれを読んでいた少年は懐にそれを仕舞い、図書室の見張りの衛兵に軽く会釈して、図書室を出た。
少年の名は、レオン。
現在の王の息子、物語に出てくるクリスティーナの実の弟、クリスレオナルドの幼少の頃からの遊び相手である。
王族は血を絶やさぬよう、その家系を守るため、あまり人と関わらぬように生きている。
レオンはクリスレオナルドの唯一の友達なのだ。
歳は16。
サラサラの金髪に青い瞳。
剣術が得意だ。
「レオン」
レオンは一人、薄暗い廊下を歩いていると声がした。
立ち止まり、辺りを見渡したが、誰も居ない。
聞き間違いかと思い、再び歩き出そうとするとさっきより大きな声で「レオン」と呼ばれた。
「ここだ!」
鋭い声に耳をこらすと、板張りの壁の隙間からグレーの瞳が見えた。
その瞬間!
「うわっ!」