虹の彼方
いきなりの真実を知ったあたしはどんな顔をして和くんを見ればいいのだろう?
涙を流す事しかできないあたしは和くんにどんな言葉を掛けてあげられるのだろう?
あたしのしゃくり泣く声しか聞こえない教室・・・
「俺は・・凛と最後まで笑顔でいたい。」
静かに呟く和くん・・・
そっと顔を見上げると、いつもの和くんの笑顔があった。
「和くん・・・」
泣きたいのは和くんなのに、何もないように笑っている和くんをみているとまた涙が出てきそうで怖い。
「俺は、ずっと一緒にいた凛と残りの3ヶ月、笑顔で生きたい。」
……そうだ。
和くんはもう……
3ヶ月しか無いんだ…。
あまり実感は沸かない。
というより、あまりに急な出来事で、思考がついて行けなくなっている。
和くんがいない日なんて考えた事もなかった。
毎日あたりまえのように笑顔を見ていたのに・・・
いつの間にか窓から見える虹は跡形もなく消えていた。
「俺はそろそろ入院をする。だけど皆には秘密にしてほしい。普通にしてほしい。」
和くんの顔は真剣そのもので、
あたしはただただ頷くしか無かった。