虹の彼方



後ろから付いていくあたしには和くんの顔が見えない。



どんな顔をしてるのだろう…??



笑顔…なのかな…。



さっきみたいに、明るい表情で歩いてるのかな??


そう思うと胸が締め付けられる。


辛くてたまらない。



あたしだけが知ってる和くんは、どれだけ辛い思いをしてきたのだろうか…。



あたしと出会う前から余命宣告をされていたって言ってたよね…。



あたしは和くんと一緒にいたのに、何も知らなかったのだろう…?


和くんが言わなかったっていうのもあるけれど


あの頃、あたしはそんな現実を知りたくなかったのかもしれない。



あの笑顔をずっと眺めていたいって思ってたのかもしれない。


虹は触れない。

手で触れちゃうと、消えちゃうから。



だから、和くんを見てるだけ。

一緒にいても、笑い合っているだけ。



だから奥底まで知ろうとはしなかったんだ。



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