虹の彼方
和くんはあたしの思った通り、非常階段へと向かったみたい。
カチャリとドアノブを動かした瞬間…
綺麗な青空が一面に広がっていた。
「うわ…綺麗。」
入道雲がゆっくりと流れてて、隙間から太陽が町を照らしている。
初めて来た非常階段。
もちろん、こんな景色も初めて。
「俺さ、虹を初めて見た時には凛はもう何回か虹見てたじゃん。」
和くんがあたしの隣に並んで、話しかける。
「だから次は、俺が、凛よりも先に見つけたかったんだ。」
笑顔で話す和くんは、どこか嬉しそうに感じた。
突然、和くんがあたしの顔を見る。
「今日は、俺になんでも聞いていいから。 俺、答えるから」
ニカッと笑う和くんは「飯食おうぜ!!」と購買のパンをあけはじめた。