虹の彼方
「でも和はね、最近もっと笑うようになったの。強がってるのかもしれないけど、こんな時だからこそって思ってるのかもね。」
そうだったんだ…
「顔には出さないけれど、残りの3か月のリミットで自分は何ができるのかってかなり焦ってるみたい。」
焦ってる…。
余命3か月でできることといえば、限られている。
小さな事しかできない。
「凛ちゃん、あの子ね、凛ちゃんの話をすると、とても嬉しそうな顔をするの」
「和の事も、あなたの家族しか知らないのよ。それは和もあたし達、時田家があなたのお宅を信頼しているから。」
まっすぐ見つめるお母さんに対して、あたしもしっかり耳を傾ける。
「凛ちゃんが支えてあげてくれないかな?? 凛ちゃんが一番、和の糧になると思うの。」
お母さんは、涙ながらに言った。
あたしも悲しいけれど、お母さんは和くんを生んだ張本人。
ずっとずっと一緒に暮らしてたんだ。
一番現実を見たくないのはお母さんだよね。
「……おばさん、あたし、和くんが大好きです。」
あたしの言葉にお母さんは涙を流し、何度も何度も頷いた。
「あたし、約束したんです。和くんと最後まで笑顔でいるって。だからあたし、泣きません。和くんが何か探してるのであれば、一緒に見つけたいです。なんだって協力します。」