虹の彼方



廊下に出ると梅木君が小さく口を開いた。

「俺、和から余命のことを聞いた。それで片瀬だけが知ってるってのも聞いた。」


梅木君が和くんのことを知っているっていうことは…

和くんが信用している人っていうことか。




「和くんまだ、生きるよ。死ぬ気ないって言ってた。」

「あぁ、俺も聞いた。なんか…頑固っつうか、まっすぐって言うのか…」


「でも、それが和くんらしいよね。」

「まぁな」


二人で和くんを思い出して笑いあう。

やっぱり思い出す度、和くんを感じると

和くんの笑顔が浮かんできて、元気を与えてくれる。


「あいつの笑顔はすごいよな。なんか勇気が出るっつうか。」


多分…和くんの目の前では言えないことなんだろうなって思う。

でも、あたしだけじゃない。


あの一つの笑顔で、前向きになれることが。


皆、同じように笑顔になれるんだ。



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