Shadow Soul Hunt
よく見ると死体の手元には、血で錆び付いた包丁がある
「自殺した死体を見付から無いまま放置すると、やがて闇に浸食され、格好の繁殖場になるんだ」
死体に歩み寄ってゆく
片手に拳銃を持ちながら
「自殺したがる人間は実は《美しい死》を望むが、これの何処が美しいんだか……自殺の死など醜い物さぁ。 俺は人間が理解出来ない。 いや、理解したかないな」
死体を一瞥(いちべつ)し
拳銃を構え引き金を引く
ダンッ!!
シュ──ッ…
黒い霧が消えていく
残ったのは
腐った死体だけとなった
「そんじゃ、帰るかっ」
そう言いながら来た通路へと戻る白狼
「ぇ…死体は?」
「もう繁殖場にはならねぇから、ほっとけ!」
「でも、せめて警察に…」
「そいつは、自らが望んで死を選らんだんだ。 自らが望み誰にも気付かれず沈黙の死を選んだ奴を、わざわざ人の目に晒し家へ連帰すほど俺はお人好しじゃね〜ぜ?」
舌を出しながら
ふざけた笑みを浮かべる
確かに…
俺の言った《警察に連絡する》ってのは
ただの偽善なのかもしれない…
…なんとなく、白狼の言った事が俺にも理解できた。