Shadow Soul Hunt
ビルから出ると
暁が、夜を朝へと染め始めている
…色々な事があった………在りすぎた……
染々とそう思う
白狼に、バイクで家まで送ってもらった
「どうだ?楽しかったろ」
全然楽しくないから!!
「そんじゃ、ほい携帯♪」
ポイッと折畳み式の、赤と黄色のチェック柄携帯を投げてくる
…白狼には似つかわしくないポップな柄……
「これ、俺の携帯!?」
いつの間に!?
「これでいつでも呼び出せるからな♪ あと、これ給料な♪」
茶封筒を渡された
中には、なんと20万もある
「スゴッ!!」
これなら
当分生活できる
「じゃあ、またな〜ぁ♪」
ブロロロッ!!
用件を済ませるだけ済ませた白狼は
つむじ風の如く去って行ってしまった
《刺激的で給料の良い仕事》
『この仕事が俺の人生を変えてくれるかもしれない』そう思い踏み出してはみたが
この長くて短かな一夜の
幻想と現実の狭間を漂う俺がいた
しかし
不思議と無意識に笑みが溢れる
「確かに結構…やり甲斐はあるかもな…」
非日常に魅了されていく俺の中の俺が
明け来る東の空に目を細め
次の白狼の連絡を心待ちにしていた