Shadow Soul Hunt


プルルルル…
プルルルル……

ドクン…ドクン…ドクンッ

…プルル……ガチャッ
「はい、もしもし?」

3ヶ月ぶりに聞く、懐かしい母さんの声
とても記憶が消去されているとは思えない

「も、もしもし?母さん」恐る恐る呼び掛ける
…ドクンッドクンッ…
頼む…覚えていてくれ!!

「…あの…どちら様です?…」

「!!!?」
…………そ…んな…
嘘だろ……本当……に?


「母さん!!俺だよ俺!!拓浪だよ!」

「……貴方ねぇ!俺俺って、うちに息子はおりませんからね! 警察に通報しますよ!!」
ガチャン!!


…母さんはもう、俺が誰なのか解らないのか…

『もしもし?』
電話口で聞いて母さんの声が脳裏に響く

もう名前も呼んではくれない…のか…


優しく厳しい母さん
うちは父さんが居ない分
いつも一緒に居てくれた母さん
嬉しい時は一緒に笑い
悲しい時には「大丈夫だよ」と慰みてくれた母さん

母さんとの思出が、走馬灯の如く蘇っては消えてゆく

もう、俺を覚えている家族は居ないんだ……



  …俺は
幼子の様に、慟哭した




…これから……俺は…
………どうすれば……




< 27 / 38 >

この作品をシェア

pagetop