Shadow Soul Hunt



『陰魂狩りになれ!!』


不意に白狼の言葉を思い出す


陰魂狩りに…
   陰魂狩りに…


  俺は… …なる…


……そうだ
白狼や他の陰魂狩りだって
…俺と同じで家族を無くしているんだ…

勝手な宿命って奴のセイで…

だけど彼等は
その現実を受け入れて
陰魂狩りの使命を果たしているんだな……


……俺は何してんだ?…

…何、家で何情けなく泣いてんだ?…

俺も、あの人みたいに強く生きれば良い…
俺は陰魂狩りに入る以外に、もう道は無いんだから…

「現実を受け入れてやる!!」


  俺は決意した
俺は陰魂狩りになる!!



あれからもう2時間も経っているが
きっと白狼はまだあの場所にいるだろう…

…きっと俺を待っているだろう



俺は家を飛び出すと全力で走った

過去を振り払うかのように
ただ前だけを見て

 ただひたすらに
白狼が待っていてくれるであろう、あの喫茶店へと走った


長い長い距離を、ひたすら走り続ける
  頬をきる風
 俺自身の息遣い
  流れゆく町の雑踏
風に揺れる街路樹の木々

何もかもが心地良かった


  もう迷いは無い




……取り敢えず
まず白狼を一発殴ろう




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