恋詠
あっ忘れ物した!!
帰り支度をしていた時、教室に筆箱を忘れたことに気付いた
「教室に忘れ物しちゃった。摩耶乃先行ってて」
「ううん、私も響乃ちゃんと教室行くよ」
二人で夕暮れの廊下を歩く
すれ違う人もいなく、何だか不気味な雰囲気を漂わせていた
「あったあった!!」
筆箱を鞄に仕舞い、再び廊下を歩み行く
すると向こう側から、数名の男子がふざけ合いながらこちらへ向かって来た
「階段だし、気をつけてなきゃね」
「うん、そうだ―――…」
「…えっ」
摩耶乃の方を見ると、まるでスローモーションの様に階段から落ちる姿が目に映った
私は咄嗟に手を伸ばし、袖を掴んで引っ張り上げる
「響乃ちゃん!?」
その反動で私の体は、真っ逆さまに階段下へと落ちて行った