恋詠

「おい、こんなところに女がいるぞ」




林の奥から複数の鎧を身に纏った男たちが現れた


皆挙(こぞ)って刀を片手に持っている




「何がどうなって…」


「おのれ今川め…」




私の傍らにいた男は刀を握り直すと、その人たちに突っ込んで行った


けれど、一人対複数など勝てるはずも無くその男は腹に何本もの刀を受けその場に倒れ込む




「次はお前だ」




ジリジリと私に迫る男たち




ヤバい…逃げなきゃ…




そう思うも体が言うことを聞かない


足が震えて立つことさえ出来ない状況




誰か…助けて…




その時、地面に倒れていた一人の男が私の足首を掴み震える唇で何かを言い始めた




「逃げ…ろ…」


「逃げる…だなんて…」




怪我人を放って逃げれるわけない…




私は決意を固め、足に力を入れ立ち上がると、その男の手から刀を奪い立ちはだかる男たちに刃を向け叫ぶ




「数人対一人なんて卑怯過ぎる!!」




刀を強く握り締め、向かってくる男たちに立ち向かって行った



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