恋詠
これは剣道の試合
大丈夫、やれる!!
「やぁぁあああ!!」
次々と向かい来る男たちを切り捨て、いつの間にか私の服は真っ赤に染まっていた
「はぁ…はぁ…」
最後の一人を切り捨てた瞬間、力が抜け地面に座り込む
途端、手が震え出した
「わたし…わたし…」
人を……殺し、たん…だ…
生まれて初めて、人を殺したんだ…
ただ怖くて、真っ赤に染まる手を見るだけで嗚咽が上がってくる
「うぅっ…」
涙が制服のスカートに染みを作る
目の前が涙で歪んで見えた
「だいじょ…ぶ…か…」
先ほどの怪我をした男が私の背中を優しく撫でながら聞いてくる
けれど私はただ頷くことしか出来なくて、ひたすらその問いに頷くだけ
「ここは…危な…い。早く…城、に…」
「………城…?」
「この…近く、に…城が…ある…んだ…。早く…そこ、へ…」
そうだ泣いてなんかいられない
この人は大怪我をしてるんだ
早く手当てをしないと