海に行こう


「だ、だって佑志あたしのこと嫌いだったじゃん!あんなに!」


「いつの時代だ、それ」


「中学の卒業式で!」


走馬灯のように、頭の中を引き出しから飛び出した思い出が埋めつくす。


あれは、卒業式が終わった後、二人で家に帰ってた時だった。












「俺、ほんとに行っていいの?」


「いいよいいよーお祝いしよ!!」


あの日は卒業式だったのに、佑志のお母さんは仕事で来られなかった。


夜まで、ずっと。


だからうちの両親が、晩御飯一緒に食べようって、あたし達の卒業お祝いしようって、佑志を誘ったんだ。


「そっか…ありがとな」


「いいって、幼馴染じゃん」


「お前はいいよな、幸せで」


「…は?」


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