海に行こう
「ボロボロでも何でもいいから、離婚なんてしてほしくなかったよ!俺の父親は、お前しかいねぇんだよ!」
「あぁ、離婚しても、お前の父親はたった一人、俺だよ」
佑志は、今までためてたであろうことを全部全部吐き出した。
声を張り上げて、お父さんに言った。
大きな声じゃなきゃ、聞こえなかった。
心が遠く離れてる二人だから、小さな声じゃ届かなかったと思うよ。
佑志の声は、お父さんにちゃんと、届いたよ。
「これからは、一緒にいられんだろ?」
「あぁ」
「ずっと、親子だろ?」
「あぁ、親子だ」
「…もういいよ、いけよ、母さんのとこ」
「ありがとう、佑志」
愛する人のもとへ向かった父の背中を、その息子は肩を震わせて見つめていた。